noteがGoogleと資本提携する理由

AI

文章などのコンテンツ配信サイトを運営するnoteは14日、米グーグルと資本業務提携すると発表した。グーグルがnoteの第三者割当増資を引き受け、発行済み株式総数の6.01%を取得する。総額4億8900万円を調達し、運営する「note(ノート)」で生成AI(人工知能)を活用した機能開発などに投じる。noteには日本経済新聞社が出資している。

 

さて、この資本提携はどう解釈すればいいのか。

note側はメリットしかない。日経新聞社に加えGoogleまで資本に加わったということは、それだけ将来の価値が見込める企業だと内外に示すことができる。Googleが、AIを具体的に活用し成長できる企業としてみなした、となる。デメリットとすれば、AIのエンジンはGoogleを使うことが前提となることだ。Googleが競争力のあるAIサービスを提供し続けられればいいが、競走も激しくなっている。現時点でnoteはGoogleにベットしたということになる。

一方でGoogle側のメリットである。noteにGeminiを使ってもらいたい、というだけで資本提携までしないだろう。私が推察するに、noteの有料コンテンツデータへのアクセスを買ったのではないか。私のnoteユーザーなので、それは困る、という感想しかないがここまで具体的に資本提携があると、勘繰ってしまう。

Google検索は過去非常に強力で、インターネット全てを網羅していたように思うが、最近はSNSなどを初め、クローズドなデータが非常に増えた。謹製アプリしかデータにアクセスできなくしたり、AIのクロールを避けたりする。野に落ちている無料データの品質は相対的に下がり、各サイト運営が持つデータは宝になった。

したがって、価値のあるデータを持つ企業に資本参入することでアクセス権を確保し、その上でそのデータを学習。差別化できるAIを構築する一手なのではないか・・。

と、勘繰っている。この話はあくまでも憶測である。少なくとも表向きは絶対に「noteのデータをgeminiが学習する」なんて言わないと思う。裏で学習するとしても何らかのマスク処理を行い、個人情報にまつわるデータは消しこむなどはやるだろう。

Xはポストを見事に学習に使っているし、メタもFacebookやインスタを学習しているだろうから、Googleもインターネットの無料データでは厳しいのでnoteをターゲットにした。文脈的には理屈に合うが、あとはnoteの規約の問題になると思う。

 

こちらが規約なのであるが、気になる文面はこちら。

5.3. 当社は、デジタルコンテンツ、ユーザー情報、行動履歴等を統計的処理や機械学習などの手法で解析し、リコメンド等のプロモーションに利用することがあります。

AIと言う文字列の無い規約なので、今後整備されるとは思う。ただ機械学習の教材にすることは肯定しているし、目的も曖昧さを感じる。

むしろGoogleと提携しGeminiを前面に押し出すことで、規約の変更は今後避けられないと思う。ユーザー側のデジタルコンテンツについて著作権はユーザー側にあるけれども、学習はするよということは、プラットフォーム事業者としてスタンダードになりつつある気がするからだ。

 

この記事のように、AIプラットフォーマーと、デジタルコンテンツ業者はどんどん結びついている現状。結びついた以上はAIプラットフォーマー側にもメリットが無ければならず、データはAIにどんどん溶けていくと推察している。故に、note側もGoogle側に持っているデータをどうするのか、明確にしない限りはこのように憶測が広がる一方と思う。規約をもっとAIを意識してほしいところだ(むしろXのように、学習するなら学習すると言い切った方がいいくらい)。

 

 新規約では、ユーザーが自身のコンテンツの所有権を保持することが明確に述べられている。ユーザーが作成した音声、写真、動画を含むすべてのコンテンツは、ユーザー自身のものとして扱われる。(中略)

 また、このライセンスにはXの機械学習やAIモデルへのコンテンツの使用やトレーニングの権利も含まれている。また、Xは他の企業や組織がユーザーのコンテンツを利用できるようにする権利も有している。

Xの態度が今のところ、一番わかりやすい。結局はどの企業もこうしたがっていると考えている。

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