実業家のイーロン・マスク氏が率いる投資家グループが、生成AIのChatGPTを開発するオープンAIに対して、974億ドル、日本円にしておよそ14兆8000億円の買収提案をしたと10日、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。
オープンAIを管理する非営利の組織を買収する提案だとしています。
イーロン・マスク氏の約15兆円の買収提案、祝日の朝に大きなニュースが飛び込んできた。と言ってもOpenAI側がこれに同調するはずはなく、単なる空砲として捉えられることだろう。
なぜ、彼はOpenAIにこれだけ固執するのか。そもそも2015年にOpenAIを設立したときに共同設立者だからだ。マスク氏はAIが人類の脅威になることを見抜いていた。AIを作り上げる組織が営利企業であったら、短期的な利益を追求するあまり安全性や倫理的配慮を軽視するだろう。その結果、人類にとって危険な存在になるだろう。だから「非営利・オープンソースの理念を重んじる団体であるべきである」と信じていた。
ところがそれとは裏腹に、2018年に、実はマスク氏はOpenAIに営利化するように要求していた。このままではGoogle社の成果に及ばないと見抜いたからだと思われる。大型の投資を行い開発を進める必要がある。しかしOpenAI社は「当初の非営利・オープンソース化の理念を優先するため」これを拒否した。しかし、マスク氏が離れた後にマイクロソフトからの出資を受け入れるなどして営利化を進めている。この辺りで感情のもつれの発生を感じられる。
今は「当初の非営利・オープンソースの理念から逸脱している」とマスク氏は言うが、そもそも2018年に営利化の提案も行っているし、今回15兆円で買収したら営利化は避けられない。
結局のところ、マスク氏は現状のOpenAIの足を引っ張り、自身に利がない形で営利化に突き進むOpenAIの進路を歪め、時間稼ぎをしたいのではないかという見方がある。
ソフトバンク連合による大型投資も発表されているし、OpenAIの成長を遅らせるためにできることは全部やるというマスク氏の態度が透けるのではないか。