ソフトバンクグループ(SBG)と米オープンAIは日本で人工知能(AI)インフラの整備に乗り出す。全国にAI開発向けのデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。1月にトランプ米大統領に表明したAIインフラ投資の日本版といえる。500社以上の日本企業にもAIの重要性を訴え、参加を呼びかける。
AIインフラの前提は、電力にある。必要な電力を確保しなければAIは稼働できない。日本で電力を確保しようとすると、原子力発電あるいは火力発電だが、現在原子力発電所の建設は自由にできない状況にある。2005年に運転を開始した東通原子力発電所(東北電力)1号機が稼働している中では最新だが、もう20年前である。だから、火力発電中心となろうが、その場合はエネルギーの輸入に頼る必要がある。日本は資源がない国だからだ。
原子力発電所が東日本大震災の影響で稼働できない状況で、エネルギー輸入を増やした結果貿易赤字になっていることは有名な話だ。
その上で、AI開発向けのデータセンターが担う電力を、新規の火力発電で賄うとしたら、もはや日本の貿易赤字傾向は定着してしまうことになる。かかる電力を、海外からのAI需要による収入が支えることができればいいが、本当に思うように推移するのか。AI需要を思った通り換金できるのかは、現段階では見通せない。
資源を持った国がトライするならともかく、資源は輸入頼みな中でデータセンターを日本に構えてしまっていいのかが疑問でならない。