既得権益構造が、次々と、音を立てて崩れていくのには理由がある

世の中

政治家の裏金問題、大物芸能事務所のスキャンダル、そして今はテレビ局。昨年辺りから、既得権益と呼ばれていた層がどんどん切り崩されていく。

一人の庶民として推移を眺めているが、私が思うに、権限を持っていた人が弱くなったためではない、と思っている。そうではなく、いつまでも権限を握りしめて下の世代を育てず、委譲することなく呆けていたからこんなことになっていると思う。

私が高校生辺りでバブル崩壊が起こり、大学に入ったらみるみる不景気の話が広がり、就職活動時には就職氷河期の始まりだった。つまりバブルにぎりぎり乗れなかった世代である。

何とか正社員として登用されるも、SESで他社常駐。つまりは自社オフィスでは働けず一流企業オフィスの一角を借りて仕事をする身分だった。

知っての通り、一流企業の社員と、他社常駐の私の身分は大きく違う。彼らはバブル前入社で破格の待遇で働いているし、私はデフレで氷河期だから、あからさまな身分格差があった。でもやってる仕事は変わりない。彼らの雑多な仕事を私が引き受け、そして彼らはいい給料をもらうのである。

そのバブルに乗った世代が、50代半ば以上。つまるところ、今つるし上げられているのはその世代である。よく彼らの年齢を見てみるといい。

彼らは、就職氷河期世代を、保身のために切り捨てたのだ。新卒採用を大幅に絞った。そしてバブル期に大量入社した人々を守ったし、今では大金を積んで会社から放流している。何から何まで手厚い。

というのを、ずっと下から見上げていた。今私は50歳だが、何とも上の世代が自由に闊達に生き生きと仕事しているのを、下支えしていた。そういう役回りだったのだ。

彼らは絶対に我々の世代には権限移譲をしようとしなかった。我々の世代を犠牲にすることで自分たちのイスを確保した。

したがって何が起きたかというと、彼らを保護していた今の80代以上が力を失いつつある今、彼らの世代を守るべき30代後半~40代後半辺りが力を持っていないか、持っていたとしても協力関係にはない、ということである。いよいよ80代以上が引退し自分たちが権限の主役と思った矢先に、神輿を担ぐ人がいないのだ。

就職氷河期世代、今までバブル世代から踏みつけられてきたのに、彼らの神輿など担ぐものか。

80代以上が逃げ切れたのは、バブル世代から上が神輿を担いできたから誰も近づけなかったのだよ。しかし、バブル世代の神輿には誰も担ぎ手はいない。

就職氷河期世代は思ってるだろう。こんな矛盾だらけの既得権益構造、壊れてしまえばいいと。今まで何の旨味も味わえず、しかもこれからという状況で増税・社会保険料の値上げ、そして年金は減額する方向。

そんなの、我々の世代から下は誰も支える気がないから、支えが落ちた既得権益がどんどん崩れていくのである。

そうやって見たらいいと思うよ。

むしろ崩れてくれた方が、本当に下支えした人にメリットが及ぶようになる。

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