【ワシントン=高見浩輔、北京=塩崎健太郎】トランプ米政権は4日、中国からの輸入品に10%の追加関税を課した。カナダ、メキシコとは関税発動を1カ月延期することに合意したが、中国に対しては4日午前0時1分(日本時間午後2時1分)に予定通り関税を引き上げた。
中国政府は4日、米国から輸入する石炭や液化天然ガス(LNG)に15%、原油や農業機械、大型自動車などに10%の追加関税を課すと発表した。
アメリカと中国の関税対決は、実はトランプ第一期政権でも起こっていて、その際に関税の設定はすでに行われている。
ここからバイデン政権を挟んでいるが、これまでの関税の歴史をまとめる。
2018年:初の追加関税導入
トランプ政権は、中国の不公正な貿易慣行を理由に、1974年通商法301条に基づき、中国製品に対して7.5~25%の追加関税を段階的に導入した。2022年:関税の見直しと維持
バイデン政権は、トランプ政権下で導入された対中追加関税の見直しを開始したが、最終的にこれらの関税措置は維持された。2024年:関税率の引き上げ
バイデン政権は、対中制裁関税の大幅な引き上げを決定し、特に電気自動車(EV)に対して関税率を100%に引き上げるなどの措置を講じた。2025年2月:新たな10%の追加関税
トランプ政権は、中国からの全輸入品に対して新たに10%の追加関税を適用した。これにより、従来免税対象だった小額のオンライン購入にも関税が課されることとなった。
と言う具合で、実のところ今年トランプ政権になったから、というよりは、中長期に続く経済戦争の一部のように見える。
ちなみのこの「従来免税対象だった小額のオンライン購入」とは、具体的には何か。
アメリカでは「デ・ミニミス(de minimis)」制度により、800ドル以下の輸入品は関税が免除されていた。SheinやTemuなどのオンライン小売業者が、中国から低価格の商品をアメリカの消費者に直接配送する際に活用されていた。しかし、2025年2月の新たな関税措置により、この免税枠が撤廃され、800ドル以下の小額のオンライン購入にも10%の関税が適用されることとなった。
この話も実はバイデン政権から引き継いだバトンだった。
米国のバイデン政権は2024年9月、特に中国のECプラットフォーム(「Temu」や「SHEIN」を含む)を対象に「デミニミスルールによる通関免除の乱用」を抑制することを目的とした新しい規則を提案しました。ホワイトハウスによると、このデミニミスルールによって関税が免除された商品の年間出荷額は、過去10年間で1億4000万ドルから10億ドル以上に急増したと言います。
ということで、トランプ政権だからこその発動というよりは、長い摩擦の中のシナリオとみるべきだと思われる。本題はこれから、である。